コラム8 ~ちょっといい話
高校卒業後、私は、姉のアパートの近くに部屋(6畳一間、トイレ・風呂なし)を借り、東京の生活がスタートしました。
ある夜、アパートの近く(ゴミ捨て場)で、チャリンコを拾いました。(「さすが『花の都大東京』、こんなまだ使えるものまで、捨ててあるんだ」と、感動しました。)
乗っていたら、交番のお巡りさんに呼び止められ(職務質問)、「拾った」と言っても受け入れられず、未成年ということでパトカーで本署(中野警察署)に連行されました。(パトカー初乗り)
指紋を採られ、拳銃で脅されながら、姉(身元引き受け人)が来るのを待ちました。ようやく連絡がついた(当時は携帯などありませんでした)姉に、真夜中に引き渡され、一泊しないで済みました。
これ以来、私は、極端に警察を嫌いになりました。
車の免許を取り、自転車に乗ることもなくなりましたが、私は、ハンドルを握ると人格が変わってしまうのか、よほど運が悪いのか、過去に何度もスピード違反で「覆面パトカー」に捕まりました。
北は新潟から、南は宮崎まで全国各地で、捕まりました。(そういえば、アメリカでも捕まっていました。)
覆面パトカーの後部座席に座らされ、事情聴取、拇印を押し、切符を切られるわけですが、最初のうちは、怒りながら言い訳するも通用するわけもなく、何回かするうちに、ようやくあきらめの境地に至り、笑顔で応対できるようになりました。(しかし、警察を益々嫌うようになっていきました。)
そんなこんなで、覆面パトカーに対する嗅覚が、いやおうなしに鍛えられていました。(左側車線をゆっくり走る、白かシルバー、クラウンが多い、二人乗り、ルームミラーが2つある、などなど)
先日、東京からの蹴り道、常磐道(高速)で、(コロナ禍で、スピードの取り締まりが強まっている情報どおり)何台もの覆面パトカーに遭遇しました。
慎重に追い越しを続けていたところ、遅い車の先頭の白いクラウンにピンと来て、減速しながら横を見ると、ヘルメットをかぶり青い制服を着た警察官が二人、私と目が合いました。(目は笑っていました。)
車線変更し、ホッとしていたところ、追い越し車線を仙台ナンバーの軽がビュンとスピードを出して追い越していきました。
車のリアウインドウには「赤ちゃんが乗っています」のシールが貼ってありました。
覆面パトカーは、即座に反応。赤色灯(パトライト)を出し、仙台の車を追いました。車は、直ぐに減速し、車線変更しました。
「子供を連れて、仙台に帰るところなのに、見逃してやれよ!そんなにスピード出していなかったじゃないか!」と、私は祈りました。
その時、フッと赤色灯が消え、パトカーは左側車線に寄り、水戸インターに出ていきました。
「警察官の中にも、いい人はいるんだなあ。過去に何回もお会いしたかったなあ」と、心が温まる思いがしました。
私は、今まで一度も違反者講習を受けずに免許更新したことなく、「今度こそ講習を受けないぞ」と、固く心に誓いました。